建築コラム|デザイン住宅は東京の田口知子建築設計事務所

田口知子建築設計事務所

建築コラム

2015/06/09 MASセミナー#19のお知らせ 

こんにちは。 東京もいよいよ梅雨入りして、アジサイの花が美しい季節になりました。 さて、今日は日本建築家協会 港地域会が定期的に開催しております、MASセミナー 第19回のお知らせです。
A4版チラシダウンロード→

参加建築家のコメントはこちら。→


テーマ:「街と建築を日本と海外から考える」

日時: 6/27(土)  14時~16時
      懇親会: 16時~17時半まで(参加費500円)
     (同会場で簡単な懇親会を行います)

場所:日本建築家協会 JIA館1階 建築家クラブ
    渋谷区神宮前2-3-18
詳しくはこちら→ http://www.jia-minato.jp/
建築やまちづくりに興味のある方、生活環境を改善したい、という方、テーマについて興味がある方など、どなたでも参加いただける無料のセミナーです。 添付ファイルに記載がある複数の建築家が、スライドと一緒員テーマに沿った考えを語り、会場の皆さんと一緒に考えていく時間にしたいと考えています。 終わった後、同会場でワインとおつまみで簡単な懇親会も用意しています。 気軽な交流のひとときとしても、お気軽にお立ち寄りください。 田口知子



2015/05/27 建物維持管理にかかる費用について 

独立して設計事務所を始めてはや18年になりました。これだけいろいろと建ててきると、いろいろ不具合も発覚します。
 特に、雨漏りは最大の難問題で、施工会社だけでは解決が難しいことが多く、設計者としても責任を負い、一緒になって解決に向けて奔走します。
雨漏りが日常の目にみえるレベルで起きるのというのは決定的な段階であり、その前に、壁の中など、目に見えないところで進行しています。そおれをどこまで追求し是正するか、というのが、雨漏り補修の肝であり、厳しい選択をすべきところ。
 壁や屋根を壊し、水の入口を追求し、痛んだ箇所を補修し、という、膨大な工事に発展してしまいます。建築の瑕疵というのは複合的な原因がつきもので、いちがいに施工会社のせいとも言い切れないケースが多く、関係者一同、できるだけのことをすると腹をくくって奔走するしかありません。
 こういう工事で施工会社が最後まで対応してくれるかどうかで、施工会社の信頼と力量が決まると思います。     設計者としても、自分の設計の配慮不足について、これほど直面させられる機会はありません。ひたすら現場に通い瑕疵を確認し一緒に挌闘し続ける日々でした。10年の保障期間内なので費用は無償とはいえ、音やほこりなども大変で建て主様への負担も並大抵ではなく誰もとっても大変な出来事になってしまいます。 今回施工した工務店は、最後までしっかりやってくれて、なんとか全面解決に漕ぎつけました。本当にありがたく、頭が下がります。

設計者は、建物を設計して施工、引き渡しで終わりではなく、長い年月を経て発生する不具合や劣化に対して補修方法も含め考えてことは大切な視点です。設計者が最初に考えておくべきことは、本当に限りなく、年々増える一方です。

 また、建物を所有する建て主の方にぜひ知っておいていただきたいことがあります。

建物を所有するとなると、10年、20年経って維持監理費が発生します。戸建て住宅であっても「修繕積立金」というお金を準備しておくことが必要です。

 マンションの修繕積立金のガイドラインによると5000㎡以下の建物なら、ざっくりとですが、200円/㎡・月程度が目安になるようです。たとえば、30坪の住宅なら、月19800円、年間237000円くらいになります。10年~15年に一回、外壁の補修、設備の交換、防水のやり直しなどといった改修工事を行うために、毎年の積立金を用意してください。何か起こって、事故が起こる前から、10年ごとに点検して補修工事をすることは建物を所有する人の義務だと考えていただきたいと。
 毎日の紫外線、台風、地震に襲われ続け、30年、50年と生き続ける建築には、メンテナンスは不可欠です。きちんと手入れを行い、建物を大切にする姿勢は、建物の寿命を延ばすだけでなく、人の健康や幸せにも影響するものだと思います。そのために必要な費用として修繕積立準備金をぜひお願いしたいと思います。

2015/05/19 加地邸見学の一日~トータル芸術としての建築 

今週日曜日に、建築家 遠藤新氏設計の加地邸の見学会に行って来ました。

昭和3年に建てられた名建築で、三井物産ロンドン支店長だった加地利夫氏の別荘です。建築家が家具や照明、金具のひとつまで、理想の想いをこめてデザインした建築で、トータル芸術としての住宅の姿を示してくれています。



竣工から87年の月日を重ねて変わらない姿で現存していることは、この日本では奇跡に近く、保存のための努力を重ねてこられた加地一族の懐の深さは並々ならぬものと拝察します。時代を超えて存続している名建築を拝見するのは、とても幸せで貴重な体験です。

建築家の遠藤新氏は、フランク・ロイド・ライトの高弟として帝国ホテルや自由学園の設計を担当した建築家で、師であるライトの作風を引き継ぎ、日本でも多数の建築を残しておられます。この加地邸は遠藤氏が30代後半に設計されたらしく、ライトの影響を受けつつも氏の自由で独自なデザインの発露が感じられる。大谷石をふんだんに使った基壇やアプローチのピロティ、屋根の棟換気のデザインや庇の出、暖炉のデザインの自由さや、水が流れるように高低差をもって連続する居室空間。「狭い・広い、低い・高い、明るい・暗い」という心理的効果を狙った変化に富む空間の構成は心地良い。(内部空間撮影不可だったため写真はないのが残念)

 当時「拙新論争」という、遠藤氏と山本氏の論争があったことをパンフレットで読んだ知った。「住宅は、住まい手が自ら成長させ、完成させていくものだ」という山本拙郎の批判に対し、遠藤の「住まい手の希望を叶えるというのは建築家の仕事ではない。よい住宅建築とは、人間生活の環境として人に教えるに足る底の建築であるべきだ。真の建築家とはかかる住まいを作りうる者の謂であると私は信じる」と反論したという。遠藤いわく「生活改善、住宅改良は要するに能率の問題「要」の問題、必要の解決、というところを彷徨しています。必要の解決は万人の問題であります。然しまだ建築家の問題ではありません。まだもっと進んだところに建築家の領分があります。」  必要を解決し進歩させていく「仕事」としての建築と、唯一性を持った作品芸術としての建築。この葛藤は、いつも時代にも、建築家が抱える普遍のものだ。自分のような凡人は、痛みをもって反みるしかないが、芸術家としての建築家という概念は、無上の喜び、夢を与える職能として、人を飛翔させるものとして存在し続けることに変わりはない。 建築が、一個の存在物として自立し、時代や人が変わっても生き続け独自の世界を存在させ続けるということ。建築家の思想と全体性を備えた建築は、そのような大上段で、優雅に存在し続ける建築空間は、日常の次元を超えた深い安らぎを与えてくれると思った。

2015/03/14 雑誌LIVESに「steps」が掲載されました。 

本日発売の雑誌LIVESに、私共の事務所で設計監理したコーポラティブハウス stepsが掲載されました。


「30代、僕たちらしい家と暮らし」という特集号です。事例ではリノベ―ションが多く、狭小住宅、郊外、2世帯など、さまざまで、自分らしく等身大で家づくりを楽しんでいるみなさんの様子が伝わってきます。自分でデザインから住まい方まで、じっくり考え、建築家と一緒に作っていく、という特徴が感じられる誌面になっています。 私達のstepsは新築ですが、6世帯が集まって組合をつくり、土地を購入して建てるところまでを行うコーポラティブハウスです。戸建て住宅なみの自由度や好みのインテリアを手に入れつつ、マンションと同等の予算で都心に住まう、という選択肢として、とても魅力的な事例だと思います。

新築当初から、コミュニティーが形成されていることもこの家の特徴です。集合写真を撮影させていただきました。人のつながりがしっかりある住環境の良さも、今の都心でとても貴重です。

取材を受けた30代のAさん。新築なのに、ヴィンテージ感あふれるインテリアになっていて、前述の30代でリノベーションで住んでいる方たちと共通の感性があるように思いました。

 取材に応じてくださったstepsのみなさん、本当にありがとうございました!  

2015/01/06 あけましておめでとうございます。

あけましておめでとうございます。
本日から業務を開始しました。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

先日、私の師匠である長谷川逸子さんを囲んでのBYハウスの新年会にお招きいただきました。一緒に写っている、先生の笑顔が素敵な写真を六反田さんが撮ってくださったので、お宝としてここにアップしておくことにしてしまおう!



長谷川逸子さんは昨年上海で17万㎡のオフィスビルを完成させ、住宅の作品集を発刊され、留まることのない精力的に活動に大変刺激を受けました。
昨年発刊された「House&Housing」をいただきました。長谷川さんが独立してから現在までの住宅のアーカイブのような本です。それぞいれの住宅の設計につけられたキーワードが鋭く、とても新鮮に響いてきました。
音楽のように美しくデザインされた密度の濃い美しい本です。

建築家の仕事が、社会性や機能、空間のシステムなど、建築が形成する重層的な意味や価値を思いだし、自然環境のように自律して場を形成する力を持つ「建築」の可能性を、あらためて考える機会になりました。

まだなだ未熟な自分ですが、今年も一層精進し、使う人、暮らす人を幸せにする建築空間を追求していきたいと思います。





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