Column

コラム
日々雑感2020.08.22

地元産の木材を使った建築をつくること~富山の氷見杉を見学してきました。

今年の夏は設計中のプロジェクトの視察と称して、事務所メンバーで富山に行ってきました。
木造の保育園で地元産の木材を使えるか、どんな材があるのか確認するためです。

とやま県産材需給情報センターにて↑

 富山県は東側の黒部・魚津のエリアと、西側の加賀藩につながりのある高岡、氷見、のエリアは、同じ富山県でも、気候や文化圏に違いがあることを発見しました。県産材の市場では、富山県材の流通している丸太を直に見学。次に氷見市の岸田木材様を訪問させていただき、氷見の里山杉の山を見学しました。樹齢60年以上の大木が、すくすくと育った里山には35mを超えるような杉林が連なり、建材として切り出してもらうことが可能とのこと。その豊かさにびっくりしました。

樹齢60年くらいの大木が育った里山杉 

木造を設計するときには、流通材のサイズを調べ、その寸法の中から必要な断面と長さを決める、という順番で通常は設計します。
しかし、最近、木材の流通や日本の山林の現状について学び考える機会が増え、その地域の地元材を使うことが、持続可能な山の循環を生み、環境負荷も低減しつつ、地域産業を維持する役割も持つ、ということを考えるようになりました。国産材なら、木造なら、いいだろう、という価値観を超えて、地元の材はどんなふうに成長しているのか、山を切り出す材木屋、製材乾燥させる製材屋さん、それぞれの状況を聞き、今ある材を調べて設計する、という方法に興味があります。

先月は秩父の金子製材さんで製材所を見学し、お話を聞きましたが、秩父はあまり大径材は得意ではないものの、集成材よりは地元産の製材を使ってもらうとうれしい、というお話でした。そして、今回は富山県の県産材情報センター、そして、氷見の岸田木材さんを訪問しました。岸田木材さんでは、浜林業さん所有の山に案内いただきました。35mを超えるような大木が大量に生えている杉林迫力の存在感。長尺で使うことで大径材の価値が生きるのだが、なかなかニーズがない、とおっしゃっていました。日本の山は、今50-~60年前に植えた杉やヒノキなどの針葉樹が大木に育ち、建築資材として使える状態ではあるのですが、木材の流通材として一般的な4mの長さの角材に切り刻まれて、あるいは合板や集成材に加工さて、安価な建材として流通することがほとんどです。本来の大木としては450φ以上、7mを超えるような材が大量に育っているのに、使う側の川下の私たちはそれをほとんど知らない、という状況を発見しました。
このように、川上側の生産者の事情を知ることで、基本設計から地元材の生産者の方と連絡を取り、その地域にある、活用できる価値のある材を尊重しながら設計に取り入れる、というやり方、初めてですが、挑戦してみたいと思っています。
その地域の山に生きていた状態から、切り出し、加工し、乾燥させて建て方をするまで、すべての流れに関りながら建築をつくること、の新鮮な喜びを感じます。建築をつくることが、地域につながり、貢献するきっかけになるような建築をつくりたいと思います。