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建築コラム

2019.07.01

子育てをメインに考える家

子供スペースを考える=子育てを通して家族のコミュニケーションを考えるということ

家は家族を守るものであると同時に、ある時期、子育てをする大切な環境でもあります。それゆえ、子供の成長を中心に考えた家づくり、一緒に考えてみませんか?

子供は年齢によって必要な場所が変化していくものですが、そのような家でも、“子供スペース”を上手く空間に取り入れると思わぬ発見があったりします。子供スペースを考えるということは、家族のコミュニケーションを考える家づくりにつながります。

 

子供と大人が接しやすいスペースとして

幼児期・幼少期の子育てでは、家事をしていても子供が視界に入るような間取りが良いと言えるでしょう。子供がそこで勉強したり本を読んだりするのを見守ることのできる子供スペースを作ることで、子供が良く勉強に集中するようになった、という話を聞きます。
子供も、親がそばにいることで安心し、勉強する姿を見せることが誇りにもなります。そういう子供スペースは、壁で仕切らず、見通しの良い空間でありつつ、落ち着けるコーナーとして独立性も感じられる工夫が必要です。
家の中ではリビングやキッチンなどとの連続性があるのが理想です。そのようなスペースは、子供が大きくなってからも、お父さんのパソコンコーナー、お母さんの家事スペースなど、家族が暮らしの中で自分の時間に集中する空間として、活用できます。
そのような空間があれば、個室にこもらずに、家族と一緒にいながら、自分の世界に集中することができ、目に見えないさまざまなコミュニケーションを維持することができるので、ぜひ取り入れていただきたいスペースです。

子供部屋と子供スペース、どっちが良い?

子供が小学生になったときに「勉強する場所」として、以前は子供部屋を作ってきました。しかし、前述のような子供スペースがあれば、学校から帰って、お母さんとお話ししながら、リビングで宿題をすることができます。と同時に、思春期に突入した場合は子供のプライバシーを守れるよう、子供が一人になれるようなスペースも用意していくことも大切です。
親と一定の距離を置きたいと思う年齢は必ずくるものですから、そのような時期を尊重できる部屋が必要となります。ただ、子供スペースのような場所があるなら、一人になれる場所は、小さい場所、ちょっとしたコーナーでも良いかもしれません。
大きな個室より、小さくても、一人になれる場所、みんなで一緒にいて勉強に集中できる場所、いろいろな場所が家の中にあることが、子供も大人も、成長していくために大切な環境を作り出すことができると考えています。

将来を見据えた間取りを考える

子供が独立して、将来、夫婦だけ、または大人が数名で住む、といった暮らしを行う際には、個室の広さ、快適さも大切になると思います。家族のステージにしたがって、可変性が高い建築の作り方を考えることも、設計事務所の大切な仕事だと思います。

共用部と個室をどのようなバランスで作るのか、将来、個室をどのように区切るのか、それぞれのご家族の個性、関係性、ライフスタイルに合わせて、将来を見据えたプランを考えることも、これからの時代の家づくりに大切だと思っています。