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建築コラム

2021.03.01

コミュニティーをはぐくむ集合住宅

集合住宅をつくるとき、自分がいつも考えることとして、コミュニティーの形成についてです。宇都宮の集合住宅「楓荘」は、セキュリティーに守られた共用の中庭をもち、井戸やベンチなど、ちょっとした立ち話やしや、コミュニケーションを誘発するような工夫を行い、住民同士がさりげなくつながる、プライバシーも保たれた集合住宅になっています。

この土地にずっと住んでこられたオーナー住居もあり、昔建っていた母屋の記憶を残すような大谷石の飛び石など、古い記憶を大切にする、なつかしく新しい風景を作りたいと思いました。

共用の中庭に向かって、1階には広めの土間玄関があり、自転車を置いたり、ちょっとしたDIYもできるような空間を用意しています。各住居はメゾネットになっていて、2階に明るい生活空間がありので、プライバシーも保たれつつ、共用部に開く仕掛けになっています。

共用部には、水や緑など、自然の存在が欠かせないと考えています。気持ちのよい外部空間と、共用することでお互いみ見守りができる安全な環境をつくることは、集合住宅ならではの大切なテーマだと考えています。

賃貸住宅でも分譲住宅でも、プライバシーと気持ちの良い共用部、両方があることで、集まって住むことのメリットを感じられる建築をつくっていきたいと思っています。

 

マロニエ建築賞 応募プレゼンテーション