恋ヶ窪の家~二つの家のあいだにあるもの
この土地は北側にある母屋の敷地の一角に建っていた旧家屋を改築した計画である。道路に2m接道させるように旗ざお状に敷地を分割し、法的に建てられる最大ボリュームを割り出して設計を行った、床面積70㎡の小さな家である。この計画のポイントは、母屋との関係にある。2世帯がほどよい距離感でつながり、一緒に生活を楽しむ家としてデザインしたいと思った。2軒の間の中庭をできるだけ広くとり、1階のリビングは北側の中庭に向かって4mの開口がフルオープンで開く建具をデザインした。小さな家なので部屋を区切らず、リビングとダイニング、そして子供達が勉強するためのワークスペースなど、腰壁や作り付けのソファなどによって分節されたいくつかの場で空間を構成した。四周建て込んだ土地なので、直射日光を取り入れられる部分はかなり限定される。まず1階は南西の角を抜くことで向かいの家の庭からの日差しを取り入れ、2階には広めのサンルーム浴室を作り、お日様を感じられる家になるように工夫している。 日当たりの少ない土地なので冬の寒さ対策が一番の問題だった。そこで家全体を一体空間として作り、1階の床下に輻射熱暖房機を配置した。床下を循環した暖かい空気が家全体をめぐる暖房システムを取り入れ家全体が、床暖房が無くても足元からほんのりと暖かく主暖房として機能するようなシステムを採用している。夏は周辺の土のひんやりした輻射熱を利用して、下階から上階へ風の抜け道作り出し、自然な涼しさを持った家になっている。
DATA
- 建設地:
- 東京都国分寺市
- 構造設計:
- 坪井浩嗣
- 構造:
- 木造
- 用途:
- 住宅
- 施工:
- 小山工務店
- 竣工:
- 2008年6月
- 撮影:
- 上田宏
- 敷地面積:
- 89.1㎡
- 延床面積:
- 70.3㎡
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