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建築コラム

2019.02.01

自然光を取り入れるヒント

自然光を感じながら快適に暮らすこだわりの家づくり

自然光をうまく家の中に取り入れられた家は、照明に頼る割合が減るうえ、自然のやわらかな光や暖かさを体感することは、気持ちが良いだけでなく、精神的な健康に大きな影響をおよぼすというデータがあります。

ただ、これらは日当たりを良くすればよい、という単純な話でもありません。自然光を感じながら快適に暮らす家づくりを成功させるには、どのような設計が大切になるのでしょうか。

 

自然光を利用するために最初に考えること

新築の場合、敷地、周辺環境に対して、建物の形や配置を決める際、光をどのように取り入れるか、最初にイメージしながら設計します。自然光をうまく導きいれるためには、建物と庭のバランスを考えて、形を決めていきます。
東京のような都市部では、南側に広い庭を取ることが難しい場合があります。そのようなときでも、周辺の環境、隣地との関係を読み込み、敷地の中に小さな庭や、隙間、引きをつくって、自然光が感じられるLDKを作ることはできます。
小さな庭でも落葉樹を植えると、夏は緑を楽しむ日陰をつくり、冬は太陽の光を導く光庭になります。庭に向かって開口部をつくることで、都会の中でも小さな自然を楽しむ暮らしが実現できます。
隣家の壁や屋根を避けて、隙間や建物の上に視線が抜けるように窓をつくると、家の中に気持ちの良い光を取り入れることができます。

日当たりが良くても必ずしも明るいリビングはできない

リビングなどは日当たりの良いことに越したことはありませんが、日当たりのみでは、必ずしも快適な明るさが保てないことがあります。夏の日ざしは、まぶしすぎたり直射日光が暑くなり、遮蔽するためのカーテンを下ろしたままになってしまったり、古い家のように深い庇があると、軒先は明るくても家の中は暗くなったりします。
家の中に、やわらかく反射した光が入るように、庇の深さを工夫したり、光を拡散させる素材を使ったり、窓の前に植栽を施したりすると、気持ちのよい光を室内に取り入れることができます。
窓の高さによっても、明るさに違いができます。高いところにある窓は、小さくても多くの光を届けてくれますし、空の色を感じることもできます。自然の光がしっかりと部屋の中で機能するような窓や空間、素材を工夫することが、自然光を取り入れる設計としては大切なことなのです。

音楽家の家づくりで感じたこと。光と音の良い関係

私達は、音楽家のための家づくりを行いました。音楽家は一日の多くの時間、遮音された密閉空間で練習をして過ごします。音楽の練習室を作る際、一般的には遮音性能を高めるだけでなく、吸音を強めて、音が耳に強く反射しないように気を付けて設計します。
しかし、ホールに立つことの多い音楽家の家づくりで発見したのは、吸音する部屋での練習は苦痛であるという話でした。ホールのように音が響いて返ってくる空間で練習したいのだ、と言われました。小さい空間ではそれはとても難しいのですが、工夫して設計することで、そのような音楽ホール兼練習室を実現できました。建て主様には大変喜ばれ、何時間でも練習し続けることができる、という感想をもらいました。
そのような音楽家の家では、音楽室での集中した練習に対比して、生活空間は、明るく、自然の光で満たされた場所にしてほしい、と言われました。家の中を白い色で、さまざまな方向から光が差し込み、空が感じられる生活空間。練習室が閉じているだけに、その対比として、明るい光にあふれた空間が、心に安らぎと癒しを与えてくれるのだとおっしゃいました。
限られた面積の住まいでも、遮音性の良い音楽スタジオと、自然光のあふれる生活空間を実現することは可能なのです。
光が降り注ぐ天井の高い空間は、音響のために良い形です。教会での音楽会が気持ちがよいのも、光と音が空間全体に響き渡るという建築の特徴から来ているのだと思います。


 

田口知子建築設計事務所は、光と風にこだわった住まい、音楽を大切にする人の住まいを作ります。どのような個性を持った人のためにも、住む人を健康に、幸せにする住宅を提案します。

自然を感じながら、快適に暮らす家づくりにこだわりたい方は、お気軽にご相談ください。ハウスメーカーの家では得られない、特別な配慮とアイデアのつまった、おしゃれなデザイン住宅をご提案いたします。

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