Column

コラム

建築コラム

2020.05.01

子どもの育ちをつくる空間

子供がのびのび育つ保育園を作りたい

保育園は「人との出会い、関わり合いを通して成長していくこと」を目的としていますので、そのような乳幼児期の成長を応援するような生活の場をつくり上げることが大切です。

子供が安全に楽しく過ごしながら、成長も促すように、保育園という場所は、さまざまな視点で建築を考えることが大切だと思います。

 

子供目線で考える安全と楽しみ

大人の目線で考えると、階段や窓のそばは子供には危険、と見えます。しかし、子供にとっては、階段は楽しい遊び場、冒険の場所にもなります。子供ならではの「成長したい」という気持ちが、大人なら危険と思うものを魅力的に見せたりします。
もちろん、保育園は安全な場所であることは大切です。うっかり落ちても怪我がないように、安全な床や手摺の工夫、階段の段差は子供でも上りやすい緩い勾配にする、など、安全な環境で大人に見守られながら、子供たちが楽しく筋力や精神力など、大切な力を身につけていく手伝いをすることも、建築の大切な役割だと考えています。
例えば子供はいつも下から見上げる視線で生活していますので、窓から下を覗く、階段から見下ろす、という体験は新鮮で、子供の脳の発達を助けるとも言われています。子供が覗ける低いところにFIX窓をつくると、子供にとって、わくわくする楽しい場所ができます。

保育園という場は、ゼロ歳児から大人、障害のある方まで、さまざまな人が訪れて、安心して過ごせる場所であることが大切です。子供とともに成長できる場所として、保育園でもユニバーサルデザインを考えることが大切です。
ユニバーサルデザインとは、すべての人が利用しやすいデザイン(計画・設計・考え)のことです。年齢や性別、国籍、ハンディキャップに関係なく、障害者を特別扱いしない、という考えも込められています。
そこにあるのは、すべての子供が利用しやすいような環境を整えるだけでなく、大人側の保育のしやすさ、大人が子供と一緒に過ごす生活として、質の高い場所を作ることが大切だと言えます。
子供が自由に遊べる環境、見守る親御さんたちへの思いやり、保育士の仕事のしやすさ、地域の人も参加できるイベントなど、さまざまな人が一緒に過ごす保育園があることは、地域の宝にもなりうると思います。

田口知子建築設計事務所は、子供心を大切にした設計が得意です。小さな居場所、ちょっとした階段、秘密基地のような仕掛けが、子供の好奇心や遊び心を刺激します。また、子供の心は繊細ですので、部屋の中だけでなく、テラスや庭など、外に出て、深呼吸できる環境を身近に用意してあげることがとても大切です。

保育園の質は、職員の皆様の努力だけでなく、建築環境も大きな影響を持っています。子供が、安全で、楽しみながら成長し、保育士さんや大人も一緒に成長していけるような保育園、地域の居場所づくりを目指しています。