Column

コラム
日々雑感2020.06.18

「笑恵館」ってすごい・・。まちづくりの新しいかたち

世田谷の祖師谷大蔵駅から徒歩5分のところに、「笑恵館」というユニークなアパートメントがあります。

今日「笑恵館」に訪問し、運営会社理事の松村拓也さんにお話を伺いました。松村さんは、起業家支援活動家・地域活性化伝道師、というめずらしい肩書の持ち主です。
このアパートのオーナーは田名夢子さんという素敵な70代の女性。画家であるお父様から受け継いだ母屋と6軒のアパートメントという比較的大きな土地を相続することになり、相続税が払えない、ということで松村さんに相談されたのが始まりです。

建物はリフォームして、そのまま使っておられます。

画家のお父様のアトリエはコミュニティールームに。

 松村さんは、田名さんと一緒に社団法人を立ち上げ、その法人に、相続する予定だった土地を全部寄贈するという技で、アパートをリフォームし、コミュニティーハウスとして、小さなお店や多目的スペースがある住まい、「笑恵館」として誕生させました。
 このプロジェクトのポイントは、社団法人に土地を寄贈し、法人が運営を行っていく形態で、田名さん個人の財産としての権利は放棄する、という大胆なものです。しかし、オーナー会社としても、アパートメントのリフォームにお金をかけなかったため借金がなくアパート収入は多少変動しても暮らしには困らない、という持続可能なモデルです。家賃単価も抑えているので、お友達やお年寄りでも、この場所の考え方に賛同した方に、入居いただけるそうです。コミュニティールームやプリン屋さんなど、小さなお店も入って、人の出入りがあること、がんばって人を集めなくても暮らしていく環境があり、毎日の出会い出会いもある、家族のような他人と暮らす、のどかな場所でした。
死ぬまで暮らせる家、ということで、在宅介護や看取りも可能だとおっしゃっていて、老人ホームに入りたくないご老人の入居も歓迎、とのことでした。
 法人化するなら利益を上げなければ存在意義がない、と考えるのは、株式会社特有の意識ですが、土地が余って子供も減っている、という時代に、どうやって町を持続させられるのかは、土地のオーナーの考え方にかかっていると思います。持続的に手入れし、人が安心して暮らすことができる環境づくり、使い続けられることが大切でしょう。
 毎日、大家さんは庭の手入れやお掃除など、ちょっとしたお仕事をしながら住み続ける、利益よりも、コミュニケーションが大切、そんな大家さんが増えたら、町はおだやかで、楽しい場所になるのではないでしょうか。松村さんいわく、「相続税の仕組みは最悪だ。土地が分割され町が壊されていく。でも、土地はずっとそこにあり、町をつくるもの。親が幸せに暮らすために土地をどう使おうが、自由ではないか。相続されるべきものは財産ではなく、親が幸せに暮らし、その仕組みを相続していくのがよい。」親世代も、一人暮らしが不安になったら老人ホームにいくしかない、と考えると寂しいですが、死ぬまで、なじんだ家で暮らし、身近に友達がいる、子供に頼らずとも安心して好きなように暮らしていける、そんな田名さんの暮らしは、大家さんとして理想の暮らし方ではないでしょうか?

 初めて訪問した「笑恵館」、そこで出会った田名夢子さんの笑顔は、未来に希望を感じる出会いになりました。ありがとうございました!